小学生サッカーチームの「保護者当番」負担の中身を整理する

クラブの日常や課題、Mybo+の活用事例などを現場目線でお伝えします。

小林 卓

Mybo+開発者。JFA指導者C級ライセンス保有。息子が所属する小学生サッカーチームのコーチを務め、他チームの運営にも携わる。

小学生サッカーチームの「保護者当番」負担の中身を整理する

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サッカー練習中の少年

小学生サッカーチームには、お茶当番・送迎当番・審判当番など、練習や試合の運営を支える「保護者当番」がつきものです。なぜこれほど負担に感じる人が多いのか、当番の種類ごとに中身を整理しながら、負担との向き合い方を考えてみます。

少年団サッカーにつきものの「保護者当番」とは

少年団サッカーに子どもを通わせていると、遅かれ早かれ出会うのが「保護者当番」です。練習や試合の日にお茶やアイスボックスを用意するお茶当番、車を出して子どもたちを送り迎えする送迎当番、公式戦で笛を吹く審判当番など、種類はクラブによってさまざまですが、どれも「保護者が持ち回りで運営を支える」という点は共通しています。

背景には、少年団サッカーの多くがボランティアで運営されているという事情があります。専任のスタッフや事務局を雇う予算がないクラブがほとんどで、コーチも保護者も、多くの人が本業や家事育児のかたわらで時間を割いています。当番という仕組みは、限られた人手でクラブを回すために自然に生まれてきたものとも言えます。

岩の上に置かれたスポーツドリンクと空

なぜ「当番」が保護者にとって重荷になりやすいのか

とはいえ、当番が「当たり前」として続いていくうちに、負担感だけが積み重なっていくケースも少なくありません。理由の一つは、共働き世帯が増えたことです。平日の午前中や午後に当番が回ってくると、仕事を休んだり半休を取ったりしなければならない家庭も出てきます。

もう一つは「断りにくい空気」です。「みんなやっていることだから」という同調圧力の中で、本当は難しいと感じていても言い出せないまま引き受けてしまう人もいます。さらに、当番は建前上は平等に回っているつもりでも、実際には仕事の融通が利く人や車を出せる人に負担が偏りやすいという声もよく聞かれます。結果として、一部の保護者だけが繰り返し当番を担うことになり、不公平感につながってしまうこともあるようです。

当番の種類別に見る負担の中身

一口に「当番」といっても、種類によって負担の性質はかなり違います。ここでは代表的な4つの当番を取り上げ、それぞれどんな負担があるのかを整理してみます。

お茶当番:飲み物準備・後片付けの手間と「差し入れ」を巡る気遣い

お茶当番は、練習や試合の日にスポーツドリンクやお茶、氷などを準備し、終了後の片付けまでを担当する役割です。作業自体は数十分から1時間程度のことが多いですが、前日の買い出しや保冷剤の準備、当日の荷物運びなど、見えないところに手間がかかります。また後述するように、「どこまで用意すれば十分か」という気遣いが、思いのほか精神的な負担になることもあります。

送迎当番:車の台数確保・安全面(保険や事故時の責任)への不安

送迎当番は、遠方の試合会場やグラウンドまで、車を出して子どもたちを乗せていく役割です。台数が足りないと1台に乗る人数が増え、チャイルドシートやシートベルトの安全確保が難しくなることもあります。加えて、万が一事故が起きた場合の保険や責任の所在があいまいなまま慣習で続いているクラブもあり、車を出す保護者にとっては地味に不安の種になりやすい当番です。

審判当番:資格取得のハードルと当日のプレッシャー

審判当番は、公式戦などで保護者自身が主審・副審を務める当番です。多くの場合、事前に審判資格の講習を受ける必要があり、そのための時間と費用がかかります。当日も、我が子のチームが関係する試合でジャッジをすることへのプレッシャーや、判定への周囲の目を気にする声もあり、当番の中でも心理的なハードルが高い部類と言えそうです。

連絡・調整当番:誰がいつ何を担当するかを把握する手間そのものの負担

意外と見落とされがちですが、「誰がいつどの当番なのか」を把握し、割り振りや変更の連絡をする係にも相応の負担がかかります。急な欠席が出たときの代役探しや、当日連絡が行き違って当番が誰も来ないといったトラブルも起こりがちです。当番そのものだけでなく、その調整役を引き受ける人の負担にも目を向ける必要がありそうです。

駐車場の満車イメージ

「良かれと思って」が負担になった、あるクラブの実例

私がクラブ運営のご相談を受ける中で、印象に残っている出来事があります。あるクラブでは、夏の暑い時期に、ある保護者が善意でアイスやジュースを差し入れてくれたことがありました。子どもたちにも他の保護者にも喜ばれる、ちょっとした気遣いだったはずです。

ところが、それがきっかけになって、他の保護者から「自分たちも何か差し入れをしないといけないのか」という切迫感のある声や問い合わせが実際に寄せられるようになりました。差し入れをした保護者自身も、もしかすると気を遣わせてしまったのではと感じたかもしれませんし、それを見た他の保護者も「次は自分の番かもしれない」と負担に感じてしまう。結果として、誰も得をしない空気になってしまったのです。

最終的にこのクラブでは、話し合いの末に「保護者からの差し入れは禁止」というルールを設けることになりました。もちろん、こうした対応には賛否があります。善意そのものを否定するわけではありませんし、差し入れを楽しみにしていた保護者もいたかもしれません。ただ、「良かれと思って」の行動が、意図せず他の人の負担や気遣いを増やしてしまうことがあるという一つの実例として、紹介したいと思います。ルールを決めることが必ずしも正解というわけではなく、クラブの雰囲気や関係性によって、合う・合わないがある話だと感じています。

保冷剤入りクーラーボックス

当番文化とどう向き合うか

当番の負担をどう扱うかに、唯一の正解はないというのが正直なところです。実際にクラブによって選んでいる対応もさまざまで、当番そのものを完全に廃止して外部委託や有志のみに切り替えるところもあれば、内容を減らして必要最低限に簡素化するところもあります。また「できる人ができる時に」という緩やかな当番制に切り替えて、無理に平等さを追求しない方針を取るクラブもあるようです。あるいは、当番の内容や回数のルールをあらかじめ明文化しておくことで、「暗黙の了解」から生まれる不公平感を減らそうとする工夫も見られます。

どの方法にも一長一短があり、クラブの規模や地域性、保護者同士の関係性によって、合う形は変わってきます。なお、当番の割り振りや連絡調整の煩雑さそのものが負担になっている場合は、アプリなどでスケジュールや出欠のやりとりをまとめて管理しているクラブもあるようです。

まとめ:当番は「当たり前」ではなく、見直せるものかもしれない

お茶当番・送迎当番・審判当番、そして連絡調整の当番。どれも長年の慣習として続いてきたものが多く、つい「そういうものだから」と受け止めてしまいがちです。しかし、共働き世帯の増加や価値観の変化を踏まえると、当番のあり方はクラブごとに話し合って見直せる余地があるテーマだと思います。今回紹介した差し入れ禁止のような一つの事例も、正解というより「こういう選択をしたクラブもある」という参考程度に受け止めていただけたらうれしいです。負担が偏っていると感じたときは、一度立ち止まって、クラブの中で当番について話し合ってみるのもよいかもしれません。

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