少年団サッカーコーチの人手不足、やりがい搾取の現実!?
少年団サッカークラブの現場では、コーチ不足が深刻な問題になっています。卒団生が戻ってきてくれても、就職・結婚・育児をきっかけに離れていく。そして気づけば、少ない大人で何十人もの子供たちを見ている。そんな状況に心当たりはありませんか?この記事では、少年団サッカークラブが抱えるコーチ不足の実態と、その背景にある「やりがい搾取」の問題を正直に書いていきます。
目次
少年団サッカーのコーチ事情、今どうなっている?
私が運営に関わる小学生サッカーチームにも、以前は学生コーチが何人もいました。活気があって、子供たちも多く、グラウンドは賑やかでした。
でも気づけば、ひとり、またひとりと抜けていく。気がつけば残ったのは数人のコーチだけ。それでも6学年分の子供たちを見なければならない。
少年団サッカークラブのコーチ不足は、今や珍しい話ではありません。全国的に同じような状況を抱えているチームは多く、SNSでも「コーチが集まらない」「人手が足りない」という声を見かけます。
その背景にはいくつかの構造的な問題があって、どれかひとつを解決すれば終わり、という単純な話でもありません。
若いコーチが定着しない理由
少年団サッカークラブにコーチが集まる典型的なパターンは、卒団生が大人になって戻ってくるというものです。自分が育ったクラブへの恩返し、後輩への愛着、サッカーが好きという気持ち。そういう純粋な動機で来てくれる若者は、今でも確かにいます。
ただ、定着しないケースがほとんどで、長くて1年ほど、2年以上しっかり関わってくれるコーチはとても貴重な人材です。これは個人の問題というより、彼らを取り巻く環境と、クラブ側の受け入れ体制の問題だと思っています。
若いコーチにとって、休日に毎週グラウンドへ来るというのは、決して小さなコミットメントではありません。20代前半の時間は、人生の中でも特別な時間です。それを無報酬で提供し続けることを「当たり前」とする空気が、少年団にはどこか漂っています。
報酬がなく、感謝も形になって返ってこない。それでは定着しないのも、正直うなずけます。
コーチが離れていくタイミング
若いコーチが離れるタイミングには、いくつかの典型的なパターンがあります。どれも「仕方がない」と分かっていても、現場としては痛手です。
就職・社会人デビュー
大学生コーチが学生のうちは来てくれていても、就職を機に辞めるケースが一番多いです。社会人になると生活リズムが変わり、平日夜や週末の時間が自分のものではなくなる。新社会人の時期は体力的にも精神的にも余裕がなく、ボランティア活動を続けるのはなかなか難しい。
気持ちとしては続けたくても、現実的に来られなくなる。「落ち着いたらまた顔を出します」という言葉とともに去っていくパターンは、何度も経験してきました。
仕事が忙しくなる時期
社会人になってしばらく続けてくれていた場合でも、仕事の責任が増えていくにつれて来られなくなることがあります。20代後半は仕事で一番鍛えられる時期。残業や出張、社内の人間関係など、吸収することも消耗することも多い年齢です。
その状況で毎週末グラウンドに来ることを求めるのは、さすがに酷だなと感じることもあります。
結婚・子育てのタイミング
結婚し、子供が生まれると、家族との時間が最優先になるのは当然のことです。自分の子供が生まれたのに、休日を他のチームの子供たちのために使い続けることには、家庭内での摩擦も生まれやすい。
パートナーからの理解が得られにくくなるのは、コーチを辞める一番大きな理由のひとつになっています。これも責める気にはなれません。
続けるモチベーションの低下
続けたくても、やりがいだけでは補えない部分が積み重なっていく。保護者や主要コーチからの感謝は確かに伝わってくる。子供たちの成長も嬉しい。でも毎週無報酬でグラウンドに来ることを、何年も続けるのは思った以上にエネルギーが要ることです。
「辞めさせてください」という連絡がきて、引き止める言葉は浮かんでも、「それはそうだよな」という気持ちが先に来てしまう。
少ない人数で現場を回す限界
コーチが減ると、残ったメンバーで何とかするしかありません。私たちのチームでも、数人のコーチで6学年を見ている状況が続いています。
本来なら、学年ごとに課題は違います。1年生に伝えることと、6年生に伝えることはまったく別物。身体の使い方、戦術の理解、精神的な成熟度。それぞれに合った指導が理想です。でも人手がないので、複数学年をまとめてひとつの練習メニューでこなすことも多い。(子供の人数により複数学年でまとめている事情もあり)
それが子供たちにとって最善かと言われると、複数学年での活動に良い面もありますが、正直「仕方ない」としか言えない部分もあります。
やりがい搾取という側面
来てくれているコーチたちは、本当にサッカーが好きで、子供たちのことを大切に思って、心から楽しんでくれています。「やらされている」という雰囲気はまったくなく、むしろ彼らのおかげでチームが成り立っている。それは間違いありません。
ただ、運営側として気になるのは「これはやりがい搾取になっていないか」という問いです。コーチ本人たちが楽しんでいるからといって、無報酬が当たり前という構造を放置していていいのか。そこにずっと引っかかりがあります。
指導できる大人には、それなりのスキルと時間が必要です。JFAのライセンスを取るにも費用と時間がかかる。20代の貴重な休日を毎週提供してくれている。それに対して何も返せていないという後ろめたさは、正直あります。
できれば適正な指導報酬を払いたい。でも子供の数が減り、会費収入も厳しく、支払う余裕がない。その板挟みで、運営側としても悩み続けています。
解決策はあるのか。正直なところ
「じゃあどうすればいいの?」という問いに、明快な答えを持っていないのが正直なところです。
コーチたちが辞めていくのは、コーチ個人の問題ではありません。就職・結婚・育児という人生の変化に、無報酬のボランティア活動がついていけない。そういう構造になっているのが根本にあります。誰も悪くないのに、現場は少しずつ苦しくなっていく。
少子化で子供の数は減り、会費収入は増えない。地域のスポーツクラブへの行政支援が充実しているわけでもない。報酬を出したくても財源がない。その中で若いコーチを呼び込み、定着してもらうのはなかなか難しい。
できることとして考えているのは、まず運営の効率化です。事務作業や連絡業務を減らし、グラウンドに集中できる環境を整えることで、指導コーチの負担を少しでも減らす。
そして、感謝を言葉にして伝え続けること。報酬が出せないなら、せめて感謝はちゃんと届けたい。来てくれるコーチたちの時間が「当たり前」ではないという認識を、チームの文化として根づかせることが、今できる最低限のことかもしれません。
簡単には解決しない問題ですが、「難しいから仕方ない」で終わらせず、考え続けることが大事だと思っています。


